1月25日(金)。
対象は、4年松組。百瀬 剛教諭による教科横断型の「眼が見えない人に『触れて伝わる形』を作る」をテーマとした授業でした。
さて、4年生では、国語の授業で『さわっておどろく』(広瀬 浩二郎)という文章を読んで、点字についての学習を進めていました。
そこで図工では視覚に障害を持つ方への理解を深めることを目指して、実際に、中野区視覚障害者福祉協会よりゲストティーチャーとして高橋様をお招きし、授業を行いました。
高橋様からは「眼が見えないってどういうこと?」というテーマで子どもたちに向けてお話をしていただいたあと、授業はスタートしました。
①イントロダクション「ふれる博物館の取材」
授業者である百瀬が実際に取材に出掛けた「ユニバーサルミュージアム」についての紹介。高田馬場にある「ふれる博物館」では、当時「宇宙をさわる」展が行われていたそうです。(昨年12月22日終了)子どもたちも興味津々でした。
②目隠しをしたまま「さわって気持ちのいい形」を作ってみよう
アイマスクを付けた状態で、自分の感覚を頼りに粘土の作品を作りました。
「友だちがつくった形はどんな形だろう?」子どもたちは、目隠しをしたまま、隣の友だちに自分の作品を渡しました。その「手渡す」という動作すらも、見えない状態では四苦八苦。自分の作品や友達の作品を触って感じながら、どんな形なのかを触覚のみで味わってもらいました。
③目が不自由な方にも伝わるような粘土の作品をグループで協力して作ろう
目が不自由な方にも伝わるような動物を粘土でつくる。これが、この日のメインの活動でした。うさぎ・ぞう・きりん・亀など、様々な動物を子どもたちは相談しながら作っていました。動物の特徴を捉えて伝えるだけではなく、その動物のもつ可愛らしさ、かっこよさ、力強さなども表現していくことがねらいでした。
グループで作った粘土の「動物」を、高橋さんに触ってもらいました。
全盲の高橋さんは、全く目が見えないにもかかわらず、指先の感覚だけで作品の動物の名前を次々に言い当てていきました。さらに、「亀の足が開いている感じが大地で踏ん張っているようで力強いね!」「このうさぎは人参を持っていてデフォルメされた感じでかわいいね」というように、作品に表現された動物の持つ雰囲気まで感じ取ってくださいました。これには子どもたちも驚いていました。
子どもたちのふりかえりには「眼が見えない人の気持ちを考えることができた」ということはもちろんのこと、そのような方の持つ優れた感覚力について書かれていたものもありました。今回のように、ゲストとして講師をお招きする授業は、これまでにも何度か行われてきましたが、障害のある方に授業をしていただいたのは初めてでした。子どもたちは、今までにない実感ある学びを手に入れることができました。
身を乗り出すようにして活動に取り組む姿が印象的でした。子どもたちにとって、忘れられない授業となったことでしょう。
研究推進委員主任
加藤 朋生